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積立NISAの利回りは何%で見積もる?

将来の資産額を試算するとき、いちばん結果を左右するのに いちばん根拠を置きにくいのが「想定利回り」です。公表されている過去の実績が何を測った数字かを整理して、1つの値ではなく幅で試算する手順をまとめました。

執筆
NY工房
公開日
2026年8月13日
最終更新日
2026年8月13日

1. 「利回り」がどの数字を指すかで答えが変わる

「積立NISAの平均利回りは◯%」と言うとき、実は違う数字が混ざっています。

  • ファンド(指数)の年率リターン: 投資対象そのものが 1 年あたり何%動いたか。シミュレーターの「想定利回り」に入れるのはこれ
  • 自分の口座の損益率: 証券口座に表示される「評価損益 ◯%」。積立では あとから入れたお金ほど運用期間が短いので、同じファンドでも年率リターンより小さく出るのが普通です
  • 分配金利回り: 分配金を出すファンドの、価格に対する分配金の割合。値上がり益とは別の話

「平均利回り5%と聞いていたのに、自分の口座は+3%しかない」の多くはこの混同で、どちらかが間違っているわけではありません。以下でいう利回りは 1 つ目(年率リターン)です。

2. 公表されている過去の実績

「何%で見積もるか」に直接の正解はありませんが、公的機関が公表している長期の実績が 2 つあります。

金融庁の試算: 保有20年で年率2〜8%に収れん

1985年以降の各年に、国内外の株式・債券へ毎月同額の積立・分散投資を始めた場合の試算です。保有期間5年では運用成果がマイナス(元本割れ)になった開始年もある一方、保有期間20年では投資収益率(年率)が2〜8%の範囲に収れんし、この試算の範囲では元本割れが発生していません。

GPIF の運用実績: 市場運用開始以降で年率+4.95%

公的年金の積立金を国内外の株式・債券に分散して運用する GPIF の実績は、市場運用を始めた2001年度から2026年度第1四半期までの通期で年率+4.95%です(2026年8月13日に公表ページから転記。値は四半期ごとに更新されます)。

注意したいのは、どちらも株式と債券に分散した構成の実績だという点です。全世界株式やS&P500のような株式100%のファンドを積み立てている場合、参照すべき実績はそのファンドの運用報告書・月報にある設定来リターンで、値動きの振れ幅も上の数字より大きくなります。

3. シミュレーターには 1 つの値ではなく幅で入れる

想定利回りを 1 つに決めて「20年後は◯◯万円」と 1 つの答えを出すと、その数字だけがひとり歩きします。過去の実績が 2〜8% という幅なのだから、試算も幅で持つほうが実態に合います。

  1. 毎月の積立額と年数を入れる
  2. まず低めの利回り(金融庁の試算の下端 2%)で結果を見る
  3. 次に高め(上端 8%)で見る
  4. 中間(4〜5% 前後)も見て、「この幅のどこかに落ちる」という掴み方をする

下端でも目標に届くなら計画は利回りに依存していません。上端でしか届かないなら、積立額か年数の側を動かす余地を考えることになります。どの値を使うかは自分の投資対象に合わせて選んでください。

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4. 利回りの数字で注意すること

  • 過去の実績は将来を保証しない。2〜8%も+4.95%も「そうだった」であって「そうなる」ではありません
  • 毎年◯%ずつ増えるわけではない。年率は長期の平均で、単年ではプラスにもマイナスにも大きく振れます。保有5年では元本割れの開始年があったのはこのためです
  • コストの分だけ指数より下がる。信託報酬だけでなく売買委託手数料等を含めた実質コストで差が付きます。実際のファンドでどのくらい違うかはオルカン2本の実質コストを運用報告書で比べた記録に実額で書いています
  • NISA 口座なら運用益に課税されません(課税口座では 20.315% が源泉徴収されます)。同じ利回りでも手取りが変わる部分です

5. 見積もった前提を書き残す

何%で見積もって積立額を決めたのかを書き残しておくと、あとで実績とずれたときに「前提が崩れたのか、単年の振れなのか」を切り分けられます。書き方は投資ノートの書き方(最低限の5項目)に、毎月の積立額の決め方そのものは新NISAの毎月の積立額の決め方にまとめています。

記録まで続けるなら

portfolio-journal では、積立の評価額の推移と「そのとき何%を前提にどう判断したか」のメモを同じ場所に残せます。試算した前提は、記録しておいて初めて答え合わせができます。

参考(出典)

  • 金融庁「つみたてNISAについて」(2017年7月)
  • GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「最新の運用状況」
  • 金融庁「NISAを知る(NISA特設ウェブサイト)」

収益率の数値は上記の公表資料から 2026年8月13日 に転記した過去の実績で、将来の運用成果を示すものではありません。個別の判断は最新の一次情報をご確認ください。

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