使い方ガイド
投資ノートの書き方
「投資ノートをつけたほうがいいのは分かるけど、何をどう書けばいいか分からない」という人向けに、最低限の記録項目と、挫折せず続けるコツをまとめました。
- 執筆
- NY工房
- 公開日
- 最終更新日
1. なぜ投資ノート(投資判断の記録)が必要か
値動きの結果だけを見ていると、値上がりした銘柄は「読み通りだった」、値下がりした銘柄は「運が悪かった」と、記憶は都合よく書き換わっていきます。判断したその時点で何を考えていたかを書き残しておかないと、半年後・1年後に見返しても「なぜこの株を買ったんだっけ」を思い出せません。
投資ノートは「上手くなるための特別なテクニック」ではなく、単に後から自分の判断を検証できる状態にしておくための記録です。
2. 最低限書くべき5項目
項目を増やすほど続かなくなるので、まずはこの5つだけで十分です。書いた内容の実例が見たい場合は株を買った理由の書き方(例文 5 パターン)に、買い・売り・ホールド・様子見それぞれの文例を載せています。
- 日付: いつの判断か
- 銘柄: 何を対象にした判断か
- 判断の種類: 買い(新規・追加購入)/ 売り(一部または全部の売却)/ ホールド(保有を続けると決めた)/ 様子見(今は判断を保留した)
- 理由: なぜそう判断したか。1〜3行で十分。当時見ていた事実・前提を書く
- 確信度: どのくらい自信があったか(5段階などの簡単な尺度でよい)。後から「当時どれくらい確信していた判断だったか」を思い出すために残す
「今日の相場観」のような長文コメントは不要です。長く書こうとするほど手が止まり、続かなくなります。
記入例(書式)
- 日付
- 2026/08/13
- 銘柄
- (銘柄名・ファンド名)
- 判断
- ホールド
- 理由
- 長期の積立を続ける方針のため。直近の値下がりだけでは、積立を始めたときの前提は変わっていない。
- 確信度
- 4 / 5
この長さで十分です。実際に書いたものを読みたい場合は、運営者自身の判断を実額つきで公開している判断の記録を見てください。
上のツールは登録不要で使えます。入力内容はブラウザ内だけで処理され、サーバーには送信されません。
余裕があれば残しておきたいこと
- 判断の前提: 何が成り立っていると考えて買ったか
- 見直す条件: 何が起きたら判断を変えるか
- 振り返る時期: いつ読み返すか(「3か月後」でよい)
- よりどころにした数字: 利回り・実質コスト・手数料・PERなど、判断に使った具体的な値
- 材料の出どころ: どこで知ったか(URLでよい)と、それを自分がどう読んだか
はじめの3つがあると、値動きの結果ではなく前提が崩れたかどうかで振り返れます。あとの2つは、その数字が今どうなっているかを後から確かめるためのものです。数字を書いていないと、あとで読み返しても「なんとなく安いと思った」以上のことが分かりません。
ただし最初から全部書こうとすると続かないので、最低限の5項目に慣れてからで構いません。
3. 手書き・Excel/Notion・アプリ、どれがいいか
どの手段にも一長一短があります。
- 手書きノート: 始めるコストが一番低い。ただし後から検索・集計ができず、埋もれていきやすい
- Excel / Notion: 自由にテンプレを作れて検索もできる。ただしそのままでは評価額の推移と別管理になりやすく、「その判断は結局どうなったか」を確かめるには自分で株価を調べて突き合わせる手間がかかる
- 記録専用アプリ: 判断と評価額を同じ場所で管理できるものもあり、その場合は後からの答え合わせが楽になる。反面、アプリによっては入力項目や形式の自由度が手書き/Excelより低い(portfolio-journal では、判断時点から現在までの評価額の変化を自動で振り返れます)
どれを選んでも構いませんが、大事なのは「後で見返して、実際の値動きと突き合わせられるか」です。
手書きなら1判断ごとに区切るだけでよい
上から「日付 / 銘柄 / 判断 / 理由 / 確信度」の順に書くだけです。見開きを使った表や、罫線を引いたフォーマットは要りません。1つ書き終えたら、その下の行から次の判断を書けば十分です。
手書きの弱点は検索と集計ができないことなので、月に1回だけ見返す日を決めておくと埋もれにくくなります。
4. 株の管理ノートは「一覧」と「判断」を分ける
保有株の管理ノートを作ろうとすると、性質の違う2種類の記録が1冊に混ざりがちです。
- 保有一覧: 銘柄・株数・取得単価・現在の評価額。最新の状態だけが分かればよく、更新のたびに書き換える「上書き型」の記録
- 判断の記録: ここまで書いてきた5項目。過去の分を書き換えず時系列に積んでいく「追記型」の記録
1冊にまとめるなら、ノートの前半を一覧・後半を判断の記録というように場所を分けると混ざりません。混ざったまま書くと、株数を書き換えるたびに過去の判断メモが埋もれていきます。
なお、保有一覧のほうを手で更新し続けるのは負担が大きいので、証券会社の CSV から取り込んで自動化するのが現実的です。手順は楽天証券の CSV の取り込み方とSBI 証券の CSV の取り込み方にまとめています。手で更新するのは判断の記録だけに絞るほうが続きます。
5. 投資信託・積立のノートは、いつ・何を書くか
自動積立では、設定後の毎月の買付には新しい判断が発生しないことが多いため、買付のたびに記録する必要はありません。投資信託のノートに書くのは判断が発生したときだけで十分です。
- 積立の設定を決めた・変えたとき(ファンド・金額・配分)
- 積立とは別にスポットで買ったとき
- 値下がりしたときに「このまま続ける」と決めたとき —— 何もしないのも判断なので、「ホールド」として理由ごと残す
項目は5項目がそのまま使えます(銘柄にはファンド名を書く)。特に効くのは「余裕があれば」に挙げた見直す条件で、「何が起きたら積立を止める・配分を変えるか」を決めた時点で書いておくと、下落のたびに考え直さずに済みます。
個別株の書き方から変える必要があるのは、次の5点だけです。
- ファンド名に口座も添える。同じ指数に連動するファンドを複数持てますし、NISAと特定口座で同じファンドを持つこともあります。ファンド名だけだと、あとでどの記録がどれか分からなくなります
- 利回りを書くなら「いつ時点か」を必ず添える。積立は評価する時点で数字が変わります。実際に、同じ積立が31か月では年12.5%、15か月時点では年3.4%でした
- 選んだ理由は信託報酬ではなく実質コストで書く。信託報酬の順番と実質コストの順番は入れ替わることがあります。同じ指数のファンドを実質コストで並べたら逆転していた例があります
- 売ってから買い直したら、売った理由と買い直した理由を別に残す。同じファンドは何度でも出入りできるので、取引履歴だけでは往復の理由が分かりません。利確したあとに買い直して−17%になった記録があります
- 分類は「商品の形」ではなく「中身」で書く。投資信託は中身ではなく商品の形です。「投信」でひとまとめにすると、中身が株式のファンドも債券のファンドも同じ扱いになり、資産配分を見たときに何を持っているのか分からなくなります。中身が分かっているファンドは、株式なら株式、債券なら債券として書き、地域も中身に合わせます(全世界株式なら「株式・外国」)。中身がすぐに分からないものだけ「投信」のまま置いておくと、あとで調べる対象がそのまま残ります
- 業種で分けたくなったら、ファンドは分けない。個別株が増えてくると「どの業種に偏っているか」を見たくなりますが、インデックスファンドの中身は何百社にも分散しているので、業種を1つ選べません。選べないものを無理に振り分けると、業種の集計が実態とずれます。ファンドは業種を書かずに置いておくと、「業種を選んで買った個別株」と「業種を選ばずに買ったファンド」が分けて見えます。半導体や情報技術など、対象が1つの業種に決まっているファンドだけは、その業種を書きます
6. 続けるコツ
- 売買や方針変更など、判断が発生したときに書く。忙しければ「様子見」の一言だけでもいいので、月1回は開く
- 理由は1〜3行に絞る。完璧な文章より、当時の前提を残すことを優先する
- 資産・評価額の入力は証券会社の CSV 取込などで自動化する。手入力を減らすほど続きやすい
- 「3か月後に見直す」のように、次に見返すタイミングをあらかじめ決めておく
評価額の推移と自動で突き合わせたいなら
portfolio-journal では、判断メモを資産に紐付けておくと、判断日時点から直近までの評価額(総額)の増減が自動で表示されます。表示されるのは評価額の事実で、期中に買い増し・売却をしていると価格の騰落そのものとは一致しません。また、値上がり・値下がりだけで判断の正誤を決めるためのものではなく、当時の理由や前提とあわせて振り返るための数字です。書き方の詳しい実践例は投資判断ジャーナルのはじめ方でも紹介しています。
本サービスは投資の記録・可視化ツールです。特定銘柄の売買推奨や将来予測などの投資助言は行いません。