本記事の金額は、私の楽天証券の口座から2026年8月3日に転記した実額です。制度・税率の記述は同日に各公式ページで確認したもので、変更される場合があります。
結論
NISA 口座で米国 ETF の配当を受け取ると、楽天証券の配当金明細には「税額合計 0」と表示されます。
ところが、実際の受取金額は税引前より10.0%少ない金額でした。私の2025年の明細では、NISA の行32回すべてがそうなっていました。
引かれているのは米国で源泉徴収された税金です。証券会社の明細の「税額合計」は国内の税額を表す欄なので、そこには出てきません。
そして、この10%は NISA では確定申告をしても取り戻せません。外国税額控除は「国内で課税された分」との二重課税を調整する仕組みで、NISA は国内が非課税だからです。
2025年に受け取ったVYMの配当(実額)
私は VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF)を NISA で保有しています。2025年に受け取った配当は、次の通りです。
| 入金日 | 保有数量 | 税引前 | 受取 | 引かれた額 |
|---|---|---|---|---|
| 2025/03/27 | 265株 | 225.25 | 202.72 | −22.53 |
| 2025/06/26 | 267株 | 230.07 | 207.06 | −23.01 |
| 2025/09/25 | 281株 | 236.51 | 212.86 | −23.65 |
| 2025/12/26 | 300株 | 284.22 | 255.80 | −28.42 |
| 合計 | 976.05 | 878.44 | −97.61 |
単位は米ドル。NISA成長投資枠(825.52ドル → 742.97ドル)と旧NISA(150.53ドル → 135.47ドル)の合算です。どちらも非課税口座で、引かれ方は同じでした。
4回とも、引かれた率は10.0%です。口座を分けて数えると8回になりますが、8回すべて10.0%で、例外は1回もありませんでした。
配当は米ドルで受け取り、円に交換していないため、円での受取額は確定していません。目安として1ドル156.79円(後述の保有画面から逆算した値)で換算すると、引かれた97.61ドルは約15,300円です。入金日ごとの為替レートは異なるので、あくまで規模を示す概算です。
明細には「税額合計 0」と書いてある
おかしいのは、この10%が明細の税額欄に出てこないことです。
楽天証券の配当金明細(CSV)には「税額合計」という列があります。私の2025年分は55行あり、口座区分ごとに次のようになっていました。
| 口座区分 | 件数 | 明細の「税額合計」 | 税引前 | 受取 | 実際に引かれた率 |
|---|---|---|---|---|---|
| NISA(成長投資枠+旧NISA) | 32回 | 「0」 | 1,465.38 | 1,318.84 | 10.0% |
| 特定・一般 | 23回 | 「−」 | 138.17 | 99.47 | 28.01% |
単位は米ドル。特定・一般の行は BND / BNDX で、VYM ではありません。銘柄の比較ではなく、口座区分による引かれ方の違いとして並べています。
NISA の32行はすべて「0」でした。金額としては正しくて、国内の税金は本当に0円です。
10%は米国側で引かれてから入金されるので、国内の税額を表す欄には現れません。差額は「税引前」と「受取金額」を引き算しないと見えないということです。
私はこの列を見て「非課税だから全額もらえている」と思っていました。実際には、税引前と受取の差をずっと見ていなかっただけでした。
特定口座では約28%引かれていた
同じ明細の特定・一般の行(BND / BNDX)では、税引前138.17ドルに対して受取が99.47ドルで、28.01%引かれていました。
楽天証券の説明では、「米国株式で得た配当所得は、現地で10%が源泉徴収された後、差し引かれた金額に対して日本で20.315%が課税されます」とあります。2段階で引かれるので、合計では約28.3%になります。
実測が28.01%で理論値の約28.3%とわずかにずれるのは、この口座の1回あたりの分配金が5〜8ドルと小さく、端数処理の影響が出るためだと考えています。ここは私の推測で、明細から検証はできていません(特定・一般の行は「税額合計」が「−」で内訳が出ていないため)。
つまり、NISA でも特定口座でも、米国側の10%は同じように引かれている。違うのは国内の20.315%の部分だけです。
NISAでは外国税額控除が使えない
では、米国で引かれた10%は取り戻せるのか。ここが記事を書こうと思ったきっかけで、私自身よく分かっていませんでした。
楽天証券の「外国税額控除」のページには、次の記述があります。
国内で非課税とされた配当所得(NISA口座で保有している株式の配当金)については、二重課税となりませんので、外国税額控除の適用を受けることができません。
外国税額控除は、同じ所得に外国と日本の両方で課税されたときに調整する仕組みです。NISA は日本側が課税されていないので、調整する対象がありません。
適用の要件についても、同じページに「外国税額控除を受けるためには、当該配当金を、総合課税または申告分離課税を選択して確定申告をした場合に限られます」とあります。申告しない限り自動では適用されません。
国内の投資信託を経由しても、NISAでは同じでした
私は最初、「米国 ETF を直接持つのではなく、米国株に投資する国内の投資信託を NISA で持てば調整されるのではないか」と考えていました。2020年から、投資信託の分配金には二重課税を自動調整する仕組みがあるからです。
これは誤りでした。楽天証券の説明はこうです。
この二重課税調整措置について、お客様で必要な手続きはなく、2020年1月1日 以降に支払われる投資信託等の分配金に対して、自動的に適用されます。
ただし、非課税主体(公共法人等)や非課税口座(NISA 口座)、未成年者口座(ジュニアNISA 口座)及び財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄(以下、「非課税主体・非課税口座等」という)は二重課税調整の対象外となります。
NISA 口座は、この自動調整の対象外と明記されています。米国 ETF を直接持つか、国内の投資信託を経由するかで扱いが変わるわけではありませんでした。
この2ページには更新日の記載がありません。私が確認したのは2026年8月3日です。制度は変わりうるので、判断に使うときは同じページを開いて確認してください。
では特定口座の方が有利なのか(私の数字で並べた)
「NISA では取り戻せない」と分かると、特定口座の方がよかったのかと考えたくなります。私の2025年の配当(税引前976.05ドル)で並べると、こうなります。
| 項目 | NISA(実額) | 特定口座(仮定計算) |
|---|---|---|
| 税引前 | 976.05 | 976.05 |
| 米国での源泉徴収(10%) | −97.61 | −97.61 |
| 日本での課税(20.315%) | 0 | −178.46 |
| 受取 | 878.44 | 699.98 |
単位は米ドル。実際には NISA で保有しているので、右の列は「同じ配当を特定口座で受け取っていたら」という計算です(実際の取引ではありません)。米国10%・国内20.315%という公表税率をあてはめただけで、端数処理は考慮していません。
私の場合、NISA だったことで国内の178.46ドル分が課税されていません。取り戻せない米国分の97.61ドルより大きい金額です。
一方、特定口座なら確定申告で外国税額控除を使える可能性があります。ただし、国税庁の「No.1240 居住者に係る外国税額控除」によると、控除できる金額には控除限度額があります。
所得税の控除限度額=その年分の所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)
つまり外国で引かれた税額が必ず全額戻るわけではなく、その人の所得額によって変わります。私はこの計算を自分の所得で試していないので、いくら戻るかは分かりません。
有利・不利は所得や他の控除の状況で変わるので、私の数字がそのまま他の人に当てはまるとは考えていません。ここで書けるのは、私の口座では、取り戻せない米国分が97.61ドルあったという事実だけです。
なぜVYMをNISAで持っているのか
VYM を買った理由は、インデックスで資産を積み上げるのとは別に、配当金が欲しかったからです。
オールカントリーの積立は、増えても減っても数字が動くだけで、手元には何も入ってきません。それとは別に、現金として入ってくるものを持っておきたかった、という動機です。
2026年8月3日時点の保有状況は次の通りです。
| 口座 | NISA 成長投資枠 |
|---|---|
| 保有数量 | 341株 |
| 平均取得価額 | 19,200.67円 |
| 取得総額 | 6,547,430円 |
| 現在値 | 161.96ドル |
| 時価評価額 | 8,659,254円 |
| 評価損益 | +2,111,824円(+32.25%) |
為替レートは画面に表示されていないため、時価評価額 ÷ 保有数量 ÷ 現在値(8,659,254 ÷ 341 ÷ 161.96)で1ドル156.79円と逆算しています。上の配当の円換算にも同じ値を使いました。
これを知って何を変えたか
保有は変えていません。10%引かれることは、配当を受け取りたいという当初の目的を否定するほどの差ではないと考えたからです。
変えたのは、記録の仕方です。
- 配当の実績を「税引前」ではなく受取金額で記録する
- 明細の「税額合計」欄を、受け取った額の確認には使わない
- 利回りを計算するときは、税引前の分配金額から10%を引いた前提で見る
税引前の数字で利回りを計算していると、実際に入ってくる金額を1割多く見積もることになります。金額が大きくなるほど、この1割の差も大きくなります。
債券枠については、分配金を受け取らずに運用を続ける形にしたいという理由で、別の判断をしています(BNDからeMAXIS Slim先進国債券へ切り替える理由)。分配金を受け取らない商品なら、そもそもこの10%は発生しません。
まとめ
- NISA 口座の配当は、明細の「税額合計」が0でも、受取金額は税引前より10%少ない
- 引かれているのは米国で源泉徴収された税金で、国内の税額欄には出てこない
- この10%は、NISA では確定申告をしても外国税額控除の対象にならない
- 国内の投資信託を経由しても、NISA 口座は二重課税調整の対象外なので同じ
- 私の2025年の VYM は、税引前976.05ドルに対して受取878.44ドル(差97.61ドル)だった
「NISA は非課税」という言葉は国内の税金についての話で、外国で引かれる分は別、という整理をしていませんでした。明細の「0」は、その勘違いを補強していました。
参考(出典)
- 楽天証券「外国税額控除」
- 楽天証券「投資信託等に係る二重課税調整について」
- 国税庁「No.1240 居住者に係る外国税額控除」(令和7年4月1日現在法令等)
- Vanguard「Vanguard High Dividend Yield ETF (VYM)」
税率・制度の記述は上記の公式情報に基づく2026年8月3日時点の確認結果です。楽天証券の2ページには更新日の記載がありません。制度や税率は変更される場合があるため、実際の判断の前に最新の公式ページと、必要に応じて税務署・税理士にご確認ください。
この記事の集計に使ったのは、楽天証券からダウンロードした配当金明細の CSV(dividendlist_YYYYMMDD.csv)です。同じファイルを年間・月別・銘柄別に集計するツールを、登録なしで使える形で公開しています(ファイルはブラウザ内で処理し、サーバーには送信されません)。
ただし、このツールが読んでいるのは「受取金額」の列だけで、この記事で見た税引前との差は表示しません。差を確かめるには、CSV の「配当・分配金合計(税引前)」と「受取金額」を自分で引き算する必要があります。私も今回それをして初めて気づきました。